「ごはんの時間が、いちばんしんどい」
せっかく作ったごはんを手でぐちゃぐちゃにされ、お皿はひっくり返り、気づけば子どもは椅子から降りてリビングを走り回っている。そんな食卓に、毎日くたくたになっていませんか?
実は、1〜3歳ごろの遊び食べに悩んでいるママ・パパは10人中8人くらいいると言われています(正確にはもっと多いかもしれません)。遊び食べはこの時期にほとんどの子が通る道で、あなたのしつけが甘いわけでも、育て方が間違っているわけでもないんです。
私は管理栄養士として7年間、病院で患者さんの食事指導を続けてきました。でも、そんな私の息子(現在3歳)は食べることより遊ぶことに夢中で、毎食「もう食べないの?」とため息ばかり。「栄養のプロなのに、自分の子の食卓すら整えられない」と、正直かなり落ち込んだ時期がありました。
この記事では、わが家で実際に遊び食べがひどい時期に効いた対処法5つを、管理栄養士ママの視点でお伝えします。完璧なお行儀を目指さなくて大丈夫。まず「食卓が戦場じゃなくなる」ことを一緒にゴールにしてみませんか。
遊び食べがひどいのはなぜ。まず知っておきたい理由

対処法の前に、どうして子どもが遊び食べをするのかを少しだけ知っておくと、見える景色が変わります。理由がわかると、不思議とイライラが半分くらいになったりするんです。
遊び食べは「食材を確かめている」サインだったりする
大人からすると、食べ物をぐちゃぐちゃにするのはただのいたずらに見えます。でも子どもにとっては違うんです。
手で握ったときの感触。指の間からこぼれる感じ。握ったら形が変わるおもしろさ。子どもは「これは何だろう」と五感で食材を確かめている最中だったりします。
私の息子も、豆腐を握りつぶしては不思議そうに手を見ていました。最初は「ああ、また…」とげんなりしていたのですが、ある日「これは食べ物の勉強をしているのかもしれない」と思い直したら、少しだけ気持ちが楽になったんです。
もちろん、毎回ぜんぶを許す必要はありません。ただ「わざと困らせているわけじゃない」と知っているだけで、こちらの声かけのトーンが変わります。それだけで食卓の空気はずいぶん柔らかくなったりするものです。
集中力が続かないのは月齢的に自然なこと
1〜3歳の子が一つのことに集中できる時間は、思っているよりずっと短いんです。目安として年齢プラス1分くらい、つまり2歳なら3分前後とも言われています。
大人の感覚で「30分かけてゆっくり食べてほしい」と思っても、子どもの集中力はそこまで持たないことが多い。途中で立ち歩いたり、よそ見をしたりするのは、お行儀が悪いというより体と脳の発達の段階として自然なことだったりします。
だからこそ、食事の時間そのものを長く設定しすぎないことが大切になってきます。「短期決戦」に切り替えるだけで、ダラダラ食べがぐっと減ることもあるんです。具体的なやり方は、このあとの対処法でお伝えしますね。
ちなみに、そもそも食材自体をなかなか口にしてくれない場合は、遊び食べとはまた別の対策が必要になります。食べる量が極端に少なくて心配なときは、幼児の偏食がひどい・食べない原因5つと克服のコツもあわせて読んでみてください。
遊び食べが多く見られるのは1歳〜2歳ごろがピーク。手先が器用になり、自分でやりたい気持ちが芽生える時期と重なります。3歳を過ぎると、言葉でのやりとりが通じやすくなり、少しずつ落ち着いてくる子が多いです。
遊び食べがひどいときにやりがちなNG対応

よかれと思ってやっていることが、実は遊び食べを長引かせていることがあります。わが家でも、最初はことごとくやってしまっていました。先に「効きにくい対応」を知っておくと、遠回りせずに済みます。
強く叱る・無理やり座らせるのは逆効果になりやすい
遊び食べをすると、つい大きな声で「こら!ちゃんと食べなさい!」と言いたくなりますよね。私も何度も言ってきました。でも、これがなかなか効かないんです。
「ダメでしょ!」と強く叱る/泣いても無理やり椅子に座らせ続ける/食べ終わるまで遊ばせない
「お皿の上で食べようね」と短く伝える/立ち歩いたら一度ごちそうさまにする/食卓を楽しい雰囲気に保つ
強く叱ると、子どもにとって食卓が「怒られる場所」になってしまいます。そうすると、ますます食事に向き合いたくなくなる。食事が嫌な記憶と結びつくと、遊び食べどころか食べること自体を嫌がるようになることもあるんです。
叱るより、淡々と。これがわが家でいちばん効いた心がけでした。
食事中ずっと相手をしすぎるのも実は落とし穴
「食べさせなきゃ」と必死になって、ずっと話しかけたり、おもちゃで気を引いたり、テレビをつけて気をそらしたり。気持ちはすごくわかります。私もやっていました。
でも、食事中の刺激が多すぎると、子どもの意識は食べ物から離れていきます。テレビに夢中になって口が止まったり、構ってほしくてわざと食べ物を投げたり。遊び食べが「親の反応を引き出す遊び」になってしまうと、抜け出しにくくなるんです。
子どもは、こちらが慌てたり笑ったりする反応をよく見ています。食べ物を落としたときに大きくリアクションすると、「もう一回やったら同じ反応がもらえる」と学習しちゃってる、みたいな現象が起きやすいんです。だからこそ、反応をぐっと控えるのも一つの手だったりします。
遊び食べがひどい幼児に効いた対処法5つ

ここからが本題です。わが家の超マイペース息子に実際に効いた、毎日続けられる対処法を5つご紹介します。どれも特別な道具はいりません。今日の夕飯から試せるものばかりです。
- 食事は20分で区切る「短期決戦」にする
- 遊び始めたら一度「ごちそうさま」にする
- 一口サイズにして自分で食べられるようにする
- おなかを空かせてから食卓につかせる
- 食卓のまわりから気が散るものを片づける
対処法1・食事は20分で区切る「短期決戦」にする
だらだらと30分、40分と食べさせていると、後半はほぼ遊びの時間になりがちです。そこで思い切って、食事時間を20分前後で区切ると決めてみてください。
やり方はシンプルです。食べ始めて20分くらい経って、明らかに食べる気がなくなって遊び始めたら、「もうおしまいにしようね」とお皿を下げます。中途半端に残っていても、です。最初は「えっ、これだけしか食べてないのに」と不安になりますよね。私もそうでした。
でも、これを続けると子どもは「食べられる時間は限られている」と少しずつ学んでいきます。次の食事までにきちんとおなかが空けば、遊ぶより先に食べることを優先するようになっていく。わが家では、この区切りを取り入れてから食卓に座っている時間の質がぐっと上がりました。
ポイントは、下げるときに怒らないこと。「いっぱい食べたね、おしまい」と笑顔で終わらせます。罰ではなく、ただの区切りとして伝えるのが続けるコツです。
対処法2・遊び始めたら一度「ごちそうさま」にする
食べ物を投げ始めたり、お皿をひっくり返そうとしたりしたら、いったん食事を中断します。「食べ物で遊ぶならごちそうさまね」と短く伝えて、お皿を下げてしまうんです。
大事なのは、感情的にならず淡々とやること。遊んだら食事が終わる、という流れを子どもに体で覚えてもらうのが目的です。叱るのではなく、「そういうルールなんだ」と分かってもらうイメージですね。
もちろん最初のうちは、下げた直後に「食べる!」と泣くこともあります。そのときは「じゃあもう一回座ろうか」と一度だけ戻してもOK。何度も繰り返すとルールがあいまいになるので、戻すのは一回まで、と決めておくとブレません。
このメリハリを続けるうちに、息子は食べ物を投げる回数が目に見えて減っていきました。「遊んだら終わっちゃう」と分かったからだと思います。
対処法3・一口サイズにして自分で食べられるようにする
遊び食べの裏に、「自分でやりたいのに、うまく食べられないもどかしさ」が隠れていることがあります。スプーンですくえずにぐちゃぐちゃになって、結局遊びに変わってしまう。これ、けっこうあるあるなんです。
そこでおすすめなのが、手づかみで食べやすい一口サイズに切っておくこと。おにぎりは小さく握る、野菜はスティック状にする、お肉やお魚は一口大にしておく。子どもが「自分で食べられた」と感じられると、食べることそのものが楽しくなっていきます。
野菜が苦手なお子さんの場合は、形や見せ方を少し変えるだけで口に運んでくれることもあります。このあたりは子供が野菜を食べないときの食べさせ方7つのコツでも詳しく紹介しているので、よかったらのぞいてみてくださいね。
「自分で食べられた」という成功体験が積み重なると、子どもは食卓に前向きになります。これが遊び食べを減らす、地味だけど確かな近道だったりします。
手づかみ食べは、汚れるけれど子どもの「食べる意欲」を育てる大事なステップ。テーブルの下に新聞紙やレジャーシートを敷いておくと、後片づけのストレスが減って、こちらの気持ちにも余裕が生まれます。
対処法4・おなかを空かせてから食卓につかせる
当たり前のようでいて、見落としがちなのがこれです。おなかがあまり空いていない状態で食卓につくと、子どもは食べることより遊ぶことを選びます。当然なんですよね、空腹じゃないんですから。
心当たりがあるのが、食事の少し前のおやつや、ジュース・牛乳の飲みすぎ。これでおなかが満たされていると、肝心のごはんが進みません。おやつは食事の2時間前までに済ませる、飲み物は食事と一緒に少しだけ、と決めておくと変わってきます。
あとは、食事の前に体を動かして遊ぶのも効果的です。公園で走り回ったあとや、お風呂上がりは、自然とおなかが空いてよく食べてくれたりします。「遊ばせてから食べさせる」という順番、地味に大きいんです。
しっかり空腹で食卓につけば、子どもはまず食べることに集中します。遊び食べが始まるのは、おなかがある程度満たされてから。だからこそ、最初の「ちゃんと食べる時間」を空腹の力で作ってあげるのがコツなんです。
対処法5・食卓のまわりから気が散るものを片づける
子どもの視界におもちゃやテレビ、スマホがあると、意識はそちらに引っぱられます。食事に集中してほしいなら、まず食卓のまわりをシンプルに整えることから始めてみてください。
テレビは消す。おもちゃは見えない場所にしまう。テーブルの上には今食べるものだけを置く。たったこれだけで、子どもの「食べることへの集中」がぐっと続きやすくなります。わが家もテレビを消しただけで、息子が席を立つ回数がはっきり減りました。
それから、椅子も意外と大事です。足がぶらぶらして安定しないと、子どもは落ち着いて座っていられません。足の裏がしっかり床や足置きにつく高さに調整してあげると、姿勢が安定して食事に向き合いやすくなります。これは管理栄養士の現場でもよく伝えていたポイントです。
環境を整えるのは、声かけよりもずっと即効性があったりします。叱る前に、まず食卓まわりを見回してみる。それだけで変わることって、本当に多いんです。
遊び食べがひどい時期を乗り越えるための心構え

対処法を試しても、すぐに完璧になるわけではありません。ここでは、長い目で見たときに親の心を守ってくれる考え方をお伝えします。これがあるかないかで、毎日のしんどさがぜんぜん違ってくるんです。
「いつか終わる」と知っているだけで気持ちが軽くなる
今まさに毎食ぐちゃぐちゃにされている渦中にいると、「この子はずっとこうなんじゃないか」と不安になりますよね。私もそうでした。でも、断言します。遊び食べには必ず終わりが来ます。
多くの子は、言葉でのやりとりが通じるようになる3〜4歳ごろから、少しずつ落ち着いていきます。手先が器用になって食材を確かめる必要がなくなり、「食べる」と「遊ぶ」の区別がついてくるからです。
今はその通過点。「成長の途中なんだ」と思えると、目の前のぐちゃぐちゃも少しだけ愛おしく見えてきたりします。完璧なお行儀は、もっと先でいいんです。
一口でも食べたら大成功。ハードルは思いきり下げていい
遊び食べに悩むママ・パパほど、「ちゃんと座って」「全部食べて」と理想が高くなりがちです。でも、その理想が自分を苦しめていることも多いんです。
私が救われたのは、「一口でも食べたら今日は大成功」という考え方でした。完食できなくても、座っていられる時間が昨日より少し延びたら、それで十分。子どもの成長は、小さな積み重ねでできています。
食卓が親子にとって「楽しい時間」であること。実は、それがいちばんの食育だったりします。栄養バランスも大事ですが、「ごはんって楽しい」と子どもが感じてくれることのほうが、長い目で見るとずっと大きな財産になります。
遊び食べに疲れた夜は、どうか自分を責めないでくださいね。毎日ごはんを作って、向き合っているだけで、あなたは本当にすごいんです。”完食より、楽しい食卓を”。そんな気持ちで、明日もゆるく続けていきましょう。
まとめ・遊び食べがひどい幼児への対処法

遊び食べは、子どもが食材を五感で確かめている成長のサイン。叱るより、淡々と区切ることが、抜け出すいちばんの近道です。最後に、今日からできる対処法を振り返っておきますね。
- 食事は20分前後で区切る「短期決戦」にする
- 食べ物で遊び始めたら一度「ごちそうさま」にする
- 手づかみできる一口サイズで「自分で食べられた」を増やす
- おなかをしっかり空かせてから食卓につかせる
- テレビ・おもちゃを片づけ、椅子の高さを整える
5つすべてを一度にやろうとしなくて大丈夫。まずは一つ、「これならできそう」と思えるものから始めてみてください。食卓が戦場じゃなくなって、親子で笑える瞬間が少しずつ増えていきますように。”もっと楽に、もっと笑顔で”。村田みおでした。
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