「食べない」を、「楽しい」に変える

幼児の食を楽しく。レシピと声かけで「食べない」を解決

食わず嫌いの子が食べない原因と克服する5つの方法。管理栄養士ママが教える進め方

食わず嫌いの子が食べない原因と克服する5つの方法 今日の食事どうする(偏食・食べない)

「これ、なに?いらない」初めて見る食材を、まだひと口も食べていないのにこう言われた経験、ありませんか。お皿に乗せた瞬間に体をのけぞらせて拒否されると、作った側としては正直、心が折れますよね。

実は、こうした食わず嫌いで悩んでいるママは、あなただけではありません。私が幼児食の相談を受けるなかでも、10人中7人くらいは「食べる前から嫌がる」という同じ壁にぶつかっています。味が嫌いなのではなく、食べる前から拒否する。これは好き嫌いとはまったく別物だったりするんです。

こんにちは。管理栄養士の村田みおです。病院で7年間栄養指導をしてきた私ですが、自分の息子(3歳)はびっくりするほどの超偏食。新しい食材を出すたびに泣かれて、「栄養士なのに我が子にご飯を食べてもらえない」と何度も落ち込みました。そんな私が、試行錯誤のすえに見つけた食わず嫌いを克服する5つの方法を、今日は包み隠さずお話しします。完食を目指すのではなく、「ひと口試せた」を増やしていく。そんな現実的なやり方です。

そもそも食わず嫌いはなぜ起きるのか

そもそも食わず嫌いはなぜ起きるのか

まず知ってほしいのは、食わず嫌いは子どものわがままではない、ということです。ここを誤解したまま「ひと口くらい食べなさい」と迫ってしまうと、かえって逆効果になることがほとんどなんです。

「新しい=危険」と感じる本能がある

子どもには、初めて見るものを警戒する本能がもともと備わっています。専門的にはネオフォビアと呼ばれる反応で、1歳半から6歳くらいにかけて強く出やすいと言われています。

つまり、見たことのない食材を前に「いや」と言うのは、子どもなりの自己防衛だったりするんです。色が違う、形が違う、いつもと匂いが違う。大人にとっては「ただのにんじん」でも、子どもの目には「正体のわからないもの」に映っていることがあります。

息子の場合も、ハンバーグに細かく刻んだ野菜を入れただけで「いつものと違う」と見抜いて、ピタッと食べなくなりました。子どもの観察力は、私たちが思っている以上に鋭いんですね。

過去の「嫌だった記憶」が残っている

もうひとつ大きいのが、過去の体験です。一度むせた、無理に食べさせられて気持ち悪くなった、急かされて嫌だった。そんな小さな記憶が、その食材まるごとへの拒否につながっていることがあります。

とくに、強く叱られながら食べた経験は、食材そのものより「食卓の嫌な空気」とセットで記憶に残りやすいんです。だからこそ、食わず嫌いの克服は、食材を変えることより食卓の空気を変えることから始まったりします。

豆知識

初めての食材を受け入れるまでに、平均で8〜15回ほど食卓に登場させる必要があると言われています。1〜2回拒否されただけで「この子はこれが嫌いなんだ」と決めつけるのは、まだ早いんです。

原因についてもっと深く知りたい方は、幼児の偏食がひどい・食べない原因5つと克服のコツもあわせて読んでみてくださいね。

食わず嫌いを克服する5つの方法

食わず嫌いを克服する5つの方法

ここからが本題です。難しいことは何もありません。今夜の食卓から試せる、小さな工夫ばかりを集めました。

食わず嫌い克服の5ステップ
  1. 食べさせず「見せる・触れる」から始める
  2. 「ひと口」ではなく「ひとなめ」のハードルにする
  3. 好きな食材にちょい足しする
  4. 調理を一緒にして「自分ごと」にする
  5. 食べた瞬間を逃さず喜ぶ

方法1 食べさせず「見せる・触れる」から始める

いきなり口に入れさせようとするのを、まずやめてみます。代わりに、お皿の端にちょこんと置くだけ。「食べなくていいよ、見るだけね」と声をかけて、子どものペースに任せます。

これだけ?と思うかもしれませんが、これがけっこう効くんです。警戒している子にとって、「食べなさい」というプレッシャーがない状態は、それだけで食材との距離が縮まります。触ってみる、匂いをかいでみる、つぶしてみる。遊びのように関わるうちに、「これは怖くないもの」へと記憶が書き換わっていきます。

息子はミニトマトを、最初の2週間ずっと指でつついて転がしているだけでした。でも3週目に、突然ぺろっとなめたんです。焦らず置き続けたことが、結果的に近道でした。

方法2 「ひと口」ではなく「ひとなめ」のハードルにする

「ひと口だけ食べてみて」。よく言ってしまう言葉ですが、食わず嫌いの子にとって、ひと口はかなり高いハードルだったりします。

そこで、ゴールをうんと下げます。「舌にちょんってつけるだけでいいよ」。なめるだけ、唇に触れるだけ。これならクリアできる子が一気に増えます。大事なのは、子ども自身が「できた」を体験すること。成功体験が積み重なると、自分から次の食材にも手を伸ばすようになっていきます。

✕ NGな例

「全部食べたらデザートね」と完食を条件にする。プレッシャーで食卓が戦いの場になり、食材そのものが嫌な記憶と結びついてしまいます。

◎ 正しい例

「舌にちょんってできたら今日は大成功」とハードルを最小にする。できた事実をその場で一緒に喜ぶことで、次への意欲につながります。

方法3 好きな食材にちょい足しする

苦手な食材を単品で出すと、子どもは身構えます。そこで、すでに大好きなメニューに、ほんの少しだけ忍ばせます。

ポイントは「隠す」のではなく「見える形で少しだけ混ぜる」こと。完全に隠してしまうと、バレたときに「だまされた」という不信感が残って、好きだったメニューまで食べなくなることがあるんです。たとえば大好きなカレーに、新しい野菜をひとかけだけ。「今日はこれも入ってるよ」と伝えたうえで出すのがコツです。

好きなメニューと一緒なら安心して口に運べる。その「安心して食べられた」という経験が、食わず嫌いをほどいていきます。具体的なメニューに迷ったら、偏食の子でも食べてくれた幼児食レシピ5選がそのまま使えますよ。

方法4 調理を一緒にして「自分ごと」にする

自分で関わった料理を、子どもは食べたがります。これは本当に不思議なくらい効果があるんです。

レタスをちぎる、ミニトマトを洗う、卵を混ぜる。包丁を使わない簡単な作業でかまいません。「自分が作った」という気持ちが芽生えると、苦手だったはずの食材が、急に「自分の作品」に変わります。食べる前から拒否していた子が、自分でちぎったレタスは食べた。そんな話を、私は数えきれないくらい聞いてきました。

畑やスーパーで「これ何の野菜かな」と一緒に選ぶのも効果的です。食材に物語が生まれると、警戒心がやわらいでいきます。

方法5 食べた瞬間を逃さず喜ぶ

そして、いちばん大切なのがこれ。子どもがほんの少しでも口にできたら、その瞬間を全力で喜びます。

「食べられたね!」と大げさなくらいでちょうどいいんです。ただし、「すごい!えらい!」と評価するより、「ママうれしいな」と気持ちを伝えるほうが、子どもの心には深く届きます。次もまたママを喜ばせたい。その気持ちが、食わず嫌い克服のいちばんのエンジンになります。

ポイント

喜ぶときは「食べたこと」をほめるのではなく、「挑戦したこと」をほめてあげてください。結果ではなく勇気を認めると、たとえ吐き出してしまっても、また次に挑戦してくれます。

やってはいけない3つのNG対応

やってはいけない3つのNG対応

よかれと思ってやっていることが、実は食わず嫌いをこじらせている。そんなケースは少なくありません。私自身がやってしまった失敗も含めて、3つだけお伝えします。

無理やり口に入れる

これがいちばんやってはいけない対応です。泣いている子の口に、スプーンをぐいっと押し込む。気持ちはわかります。でも、無理に入れられた経験は「その食材=怖い・嫌だ」という強い記憶になって、克服がさらに遠のいてしまうんです。

私も一度、トマトを無理やり食べさせたことがありました。その日以来、息子は半年間トマトを見るだけで泣くようになり、振り出し以下に戻りました。急がば回れ。これは本当に痛感した教訓です。

「食べないと〇〇できないよ」と脅す

「食べないと公園行かないよ」「食べないとテレビ消すよ」。つい言ってしまいがちですが、これは食事を罰や交換条件にしてしまう声かけです。

食卓が緊張の場になると、食わず嫌いどころか、食事そのものが嫌いになりかねません。食べることは本来、楽しいこと。その大前提を守ってあげることが、遠回りに見えて確実な近道だったりします。

ほかの子やきょうだいと比べる

「お姉ちゃんは食べてるよ」「〇〇くんは何でも食べるんだって」。比較の言葉は、子どもの自尊心をそっと傷つけます。とくにきょうだいで偏食の差があると、つい比べたくなりますよね。

でも、食べる量もスピードも、子どもによって本当にバラバラ。上の子は食べたのに下の子は食べない、というのは個性であって、育て方の問題ではありません。比べるなら、ほかの子とではなく「昨日のその子」と。昨日はなめられなかったのに今日はなめられた。その小さな前進だけを見てあげてくださいね。野菜全般で悩んでいるなら、子供が野菜を食べないときの食べさせ方7つのコツも参考になります。

食わず嫌いはいつまで続くのか

食わず嫌いはいつまで続くのか

「うちの子の食わず嫌い、いったいいつ終わるの?」これは、本当によく聞かれる質問です。

多くは成長とともにやわらいでいく

結論から言うと、食わず嫌いの多くは、成長とともに少しずつやわらいでいきます。とくに新しいものを警戒する反応は、6歳ごろをピークに、その後ゆるやかに落ち着いていくことが多いんです。

幼児期に食べられなかったものが、小学生になって急に食べられるようになる。これは栄養士をしていると、よく耳にする話です。今食べられないことは、一生食べられないことを意味しません。だから、今この瞬間に焦って詰め込もうとしなくて大丈夫なんです。

大切なのは、食卓を「嫌な場所」にしないこと。楽しい食卓の記憶さえ守っておけば、子どもは自分のタイミングで、必ず手を伸ばしてくれます。

栄養が心配なときの考え方

とはいえ「食べられるものが少なくて、栄養が足りているか不安」という声も、よくわかります。そんなときは、1食ごとに完璧を目指すのをやめて、1週間トータルで考えてみてください。

今日野菜が取れなくても、明日や明後日で帳尻が合えば十分です。同じ栄養素は、別の食材からも取れます。緑黄色野菜が苦手なら果物から、肉が苦手なら卵や豆腐から。「この食材を食べさせなきゃ」ではなく「この栄養を別ルートで」と考えると、肩の力がふっと抜けますよ。

毎日続けられることだけを、無理なく。完食より、笑顔の食卓を。それが、遠回りに見えていちばん確実な、食わず嫌いとの付き合い方なんです。

まとめ 食わず嫌いは焦らず一歩ずつ

まとめ 食わず嫌いは焦らず一歩ずつ

食べる前から拒否されると、こちらの心まで折れてしまいますよね。でも、その「いや」は子どものわがままではなく、新しいものを警戒する自然な反応です。だからこそ、力ずくではなく、小さな一歩を積み重ねていくことが食わず嫌い克服への近道になります。

この記事のまとめ
  1. 食わず嫌いは本能による自然な反応。わがままではない
  2. 食べさせず「見せる・触れる」から始め、ハードルは「ひとなめ」まで下げる
  3. 好きな食材へのちょい足し・一緒に調理が効果的
  4. 無理強い・脅し・きょうだい比較の3つはやめる
  5. 多くは成長とともにやわらぐ。栄養は1週間トータルで考える

今日からできるのは、たったひとつでかまいません。お皿の端に、苦手な食材をちょこんと置いてみる。それだけで、もう一歩前に進んでいます。

“完食できなくても大丈夫。今日も食卓に笑顔があれば、それで十分。”そんな気持ちで、あなたとお子さんのペースで進んでいきましょうね。私はいつでも、その食卓のそばにいます。

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